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2024年度 第54期理事長所信

一般社団法人各務原青年会議所 第 54 期理事長所信

理事長 巖 晃司

 

【基本理念】

必ず存在する対極を見つめ
個人の信念と組織の理念で突き進め

【スローガン】

~偏ることなかれ~

どまんなか

 

【はじめに】

あらゆる物事において、必ず対極が存在する。課題は、極端に偏った時に発生する。

目指すべきは、どまんなか。

 

私の人生には、多くの失敗がありました。振り返ると、いつも極端に何かに偏っていました。だから提案したいのです。どまんなかを探し求め続けていこうと。

未来と過去 理想と現実 攻撃と守備 保守と改革 強固と柔軟

 

どちらか一方を選んだ時、選ばれなかった方は、本当に必要のないものなのでしょうか。

地域の課題は、より良い社会を築き上げるために選んだ手法が、極端に偏った時に発生しています。青年会議所は、明るい豊かな社会の実現を目指し、地域の課題に持続的な解決策を打ち出す組織です。各務原青年会議所が存在するという事は、地域に理想とは対極の暗く貧しい部分が、未だ存在するという事でもあります。この地域課題の解決方法とは、何かに偏ったことで疎かにされた対極の部分にも光をあて、どまんなかを探すことであると考えています。

青年会議所は、実に多様性を持った会員からなる組織です。7 年前に私は、各務原青年会議所に入会しました。そこで出逢う先輩方は、夫々各務原の事を熱く私に語ってくれました。会議になると、その目は厳しい目つきとなり、あらゆる角度からの意見が飛び交い、組織として何を選択するか激しい討論を繰り広げていました。まさに、どまんなかを探す会議を目の当たりにしました。

どまんなかとは、極端に偏ってしまわないように、会議で話し合って最善の手法を選択するという事です。青年会議所に、この会議という仕組みがある限り、明るい豊かな社会の実現のために、持続可能な課題解決策を地域に打ち出すことができると、私は確信しています。どまんなかを探し求める旅を続けよう!

 

【個人の信念】

信じる力は何よりも偉大である。

 

人生は、常に選択の連続です。選択に悩み迷う時の個人の判断基準は、信念であるべきだと考えます。信念を持つという事は、なりたい自分という明確な到達点を定める事でもあります。選んだ道は必ずなりたい自分に繋がっています。その道は、あなただけにしか突き進むことができない尊い道なのです。

なりたい自分を考える時、職業で考える人も多いでしょう。私もそうでした。小学生の頃、恩師にあこがれて、学校の先生になりたいという夢を持ちました。しかし、祖父の余命が残り半年と判明したのもちょうどその頃でした。病室でやせ細り弱い息をする祖父の姿は衝撃的で、自然とこう伝えていました。

「僕がおじいちゃんのお寺を継ぐから、安心してね!」

祖父は、もう声を出すことはできませんでしたが、笑顔で涙を流していました。数日後に祖父は他界しました。その後の私は、祖父が護ってきたお寺の 22 代目住職になるという道を進む事になりましたが、心の奥底では、学校の先生になりたいという夢を諦められない自分もいました。

しばらくして小学校卒業を前に、未来の自分へ手紙を書く授業がありました。将来の夢について、1つに絞れなかった事だけは覚えています。その後、教員か僧侶か選択を悩みながら、教育大学に進学したり、山奥での修行に入ったりした末に、僧侶と教員の 2 足の草鞋を履く生活を選択しました。30 歳になる頃、そんな中途半端な人生に自信が持てなくなり、悩みを多く抱えるようになりました。そんな時期に、20 年前の自分から手紙が届いたのです。

「お坊さんか学校の先生になってるか?」

20  年間、悩みながらも信念は変わっていなかったことに気付きました。結局夢を  1  つに絞れていませんでしたが、私にしか歩めない僧侶と教員のどまんなかを確かに進んでいました。そして、これが自分の人生の使命だと信じることができるようになりました。子どもの頃の自分自身から、時を超えて「間違ってないぞ」と激励をもらったような感覚でした。そして、新しい信念ができたのです。子どもたちがたくさん集まるお寺で、学校では学べない事を経験できる私にしか創れないお寺を目指そう。今は、この新しい信念のもと、また新たな人生の選択を始められるようになりました。

私がこの人生経験から伝えたいことは、信念とは持ち続けるものであるという事です。絞らなくてもいい。変わってもいい。迷い続けたっていい。あなただけの信念は何よりも尊いのですから。信念を持ち続ける事で、私たちの人生に意義と目的が与えられます。

 

信念を個人のどまんなかと定め突き進もう!

 

【仲間と共に成長】

成長の原動力は、いつの時も向上心である。

 

人間には必ず向上心が備わっているはずです。その向上心の詳細は、人それぞれ千差万別でしょう。人の役に立ちたい。社業を発展させたい。話が上手くなりたい。仲間を増やしたい。新しい発想を生み出したい。財力を持ちたい。活躍したい。それ全部、青年会議所で培えます!

青年会議所には、成長の機会が無数にあります。その機会は、人種・性別・信条・所属組織に関わらず平等につかむことができます。したがって、限られた少人数の各務原青年会議所現会員だけでこの機会を共有しているだけの現状は、この上なくもったいないと感じています。多くの向上心を持つ青年たちと、この無数の機会を共有し分かち合いきたい。すなわち、圧倒的な勢いでの仲間の獲得に動き出そう。

我々の仲間に必要な条件は、向上心と機会を掴む行動力のみです。未だ見ぬ青年たちよ、どうか各務原青年会議所に一歩踏み込んできてください。

 

仲間と共に向上心を持って突き進もう!

 

【自分自身との勝負】

強者は、いつも最大の敵を自分におく。

 

他者を蹴落とす勝負ではなく、自分自身に打ち勝てる勝負の中に真の自己成長があるはずです。 前段で述べたような向上心が人間に備わっている限り、社会から競争が無くなる事はありません。その激しい競争を生き抜くために、時に世間を騒がす不正が行われることも少なくありません。そういった事件の根本的な原因は、他者との過剰な競争にあると考えています。不正をする時、そもそも自身の中の欲が良心との勝負で負けているのです。最大の敵は、自分自身ではないでしょうか。同じ分野に複数の人や団体が向き合ったとき、必ず勝負が生まれます。成長を望むからです。しかし、他者を蹴落として掴んだ勝利に何の意味があるのでしょうか。単なる相対評価でしかありません。

中学校時代の体育授業で忘れられない経験があります。最初に計測した記録より、どれだけ速くなれるかという授業でした。足の速い一部の子だけが評価をされる授業ではありませんでした。私の最大の敵は、以前の自己最高記録という事です。一か月程夫々が鍛錬を積んだ結果、全員以前より良い記録が出て、喜びを分かち合いました。忘れられない楽しい事業でした。自分との勝負の中で、皆が勝者になれたのです。

相対評価にばかり光をあてると、絶対評価の観点が疎かになります。絶対評価とは自己成長の事だと考えます。技術・文明・精神の発展に天井などありません。であるならば、皆が自分自身の中に潜む弱さに打ち勝ち、共に進んでいく世界の方が、健全な成長ではないでしょうか。その自己成長の先に、公正と自由の社会が実現し、個性あふれる人間の発想が輝く誰も取り残さない進歩があるはずです。

 

自分自身の弱さに打ち勝って突き進もう!

 

【続けて欲しいと思われる事業を】

「ずっと住み続けたい」と想える各務原であって欲しい。

 

持続可能な地域を創るまちづくり事業に必要不可欠な観点があります。市民や関係する人たちが、今後も継続して欲しいと願ってくれるという結果です。なぜならば、地域は人の想いの結集で発展していくからです。継続して欲しいという願いは、更に深くなると、今後も自らの力で継続していきたいという自発的な想いに変化していきます。

各務原の一大事業である各務原市桜まつりは、各務原青年会議所の先輩諸兄姉が創り出したまちづくり事業です。その原点を辿ると、1931 年歌舞伎役者の百十郎が新境川工事で命を落とした人の供養に 1200 本の桜を寄付した行動が起点となっています。その後、1963 年に各務原市発足記念として植樹された桜が成長し、1977 年には、各務原青年会議所の 5 周年記念事業として 10 万人の広場と題した事業が始まりました。現在、20 万人の広場と呼ばれるこのまつりは、本年第 48 回目を迎えます。たった1 人の願いが時代を超えて多くの市民の共感を呼び、各務原青年会議所や行政のみならず、多くの市民団体が後世に継続したいという想いを醸成する、継続事業の成功事例といえるでしょう。

そして、忘れてはいけないのが、この桜の寿命がいつかやってくるという事です。各務原の誇りの象徴であり、郷土愛を醸成することができる、百十郎桜の持続可能性を真剣に考えなくてはいけない時期となってきました。この課題には、単年度ではなく中長期の視点と計画で取り組んでいくべきと考えます。現在各務原青年会議所には、継続的に挑戦している事業が存在しません。その結果、組織の知名度が高くないという課題もあります。だから、もう一度私たちの手で、地域の郷土愛を育む継続まちづくり事業を起こしていこう。まちづくりと言えば各務原青年会議所だと信頼され、旗振り役を望まれる組織を目指そう。

青年会議所は、いつも率先して変革の起点となり、主役は、私たちでなく市民なのです。あらゆる人を巻き込んで突き進もう!

 

【組織の理念】

自分の信念と他者の信念はぶつかることがある。

 

私は、7  年間の青年会議所生活の中で大きな勘違いをしていました。経験を積めば積むほど、自分の信念を頑固にし、強引な主張を繰り返すようになっていました。青年会議所への愛がゆがんだ形になってしまっていました。実際に、私の周りからどんどん人が離れていく感じがして、恐怖を覚えました。

仲間の行動が、私に気付きを与えてくれました。青少年育成事業で、私がどまんなかと確信した提案が誰からも賛同を得られずに、否決されることがありました。その時、私は初めて自分の間違いに気づきました。仲間一人ひとりにどまんなかがある事を理解していなかったのです。先輩たちが見せてくれたどまんなかを探す会議ではなく、自分のどまんなかを分かってもらおうとする会議になっていたのです。遅すぎる間違いに気付いた私は、自らの主張と、相手の尊重を大切にできるようになりました。青年会議所が大切にする会議の場で、仲間から個性は主張するものではなく、認め合うものだと教えて頂きました。

したがって、だから、もう私は同じ過ちは繰り返したくないのです。会議では、多様性ある意見を多く持ち寄り、まずは自分の意見ではない意見こそ耳を傾けていきましょう。個性は組織の宝です。しかし、最後には組織として進む道を選択しなければいけません。個人の判断基準が信念だとするならば、組織の判断基準は理念だと私は考えます。青年会議所には、長年培ってきた大切な揺るぎない理念が明確にあります。会員は、この理念を経験からの感覚だけではなく言語化できるように運動を通して体得していこう。そして、組織としての最終判断を決する時は、この理念に基づき選択できるようにしてい こう。

 

理念を組織のどまんなかと定め、皆で突き進もう!

 

【奉仕】

修練なき奉仕はおせっかい。

 

各務原青年会議所に受け継がれる言葉です。私は、修練と奉仕のどまんなかを突き進め、と解釈しています。どちらに偏っても青年会議所の目的は達成されないからです。

各務原青年会議所に入会する決断をした最大の理由は、他団体と比べて「奉仕」という理念が強い団体だと思ったからです。修行を終えてお寺に入った私は、苦しんでいる人の力になりたいという想い一心で、心の電話相談団体の活動に尽力していました。しかし、私が明確に救えた命などたった1つもありませんでした。それどころか、自分自身の心と身体の調和が取れなくなってしまいました。私の奉仕は、独りよがりでした。当時の私の大きな過ちは、修行という修練を終えようやく奉仕が出来るという想いだけで、修練と奉仕を切り離してしまったことです。奉仕を志す者自身が誰よりも自分を鍛え、苦しみや悲しみを受け取れるように成長し続ける必要性を、この言葉は教えてくれました。修練と奉仕は、いつまでもどちらも欠かせない両輪です。

青年会議所は、やりたいことを押し付ける組織ではありません。困っている人が必要としている事に手を差し伸べる組織です。したがって、あらゆる要望にでも応えられるように、奉仕の手法を増やしていく事が我々の使命です。これが修練であり、成長だと私は考えます。そして、組織力が増せば増すほど、私たちが地域に打ち出せる策は、大きなものとなるでしょう。

 

修練と奉仕のどまんなかを突き進もう!

 

【結びに】

青年会議所は、世界組織全体で恒久平和を目的とする。

各務原青年会議所の運動は、国際青年会議所が目指す世界の恒久平和に向けた運動の一部になっています。つまり、各務原をより良くする運動は、より広い地域が明るい豊かな社会になっていく原動力となるのです。本年度は、青年会議所の岐阜県域大会の主幹を務める貴重な機会が巡ってきました。その舞台に出向する会員のみならず、相乗効果をもたらしてくれる機会だととらえています。我々が日々培ってきた経験を活かし、岐阜県という広域な活動に挑戦していこう。そして、より広い視野を持って青年会議所の運動をとらえる事ができるようになっていこう。仲間は世界中にいます。全世界の  117の国と地域に存在する 4,557 の各地青年会議所の約 15 万人の会員が、各地域をより良くするために率先して行動しています。その目的は、100 年を超えて変わらない世界の恒久平和です。確かに、各務原青年会議所の定款にもそう記載されています。

今こうしている間にも、戦争によって失われる命があります。私たちの地域が今抱えている課題の深さの違いを痛感すると共に、どれだけ幸せな暮らしをさせて頂いているか有難さを感じずにはいられません。平和な国に暮らしているからこそ、会議の開始を告げる鐘が鳴ったのならば、真剣に平和な討論による争いを交わそう。偏らない心で、私たちの現時点での正解を審議しよう。この運動の連続が各務原をより明るく豊かにすると共に会員の成長となり、より広域な運動へと波及していくと確信しています。

 

世界の恒久平和のために、各務原のどまんなかを突き進め!